2025年12月01日
「歯周病」と聞くと、歯ぐきの腫れや出血、口臭といったお口の症状を連想する方が多いかもしれません。しかし近年、歯周病は単なる口腔疾患ではなく、全身の健康を脅かす慢性炎症性疾患であることが明らかになってきました。日本人の約8割が罹患しているといわれる歯周病が、なぜ全身疾患と深い関係を持つのでしょうか。今回はその理由と、予防・治療の重要性についてまとめました。
■ 歯周病が全身に影響するメカニズム
歯周病の原因となる歯周病菌は、歯ぐきの炎症によって血管内に侵入することがあります。これにより体内で炎症反応が起こり、血管や臓器にダメージを与えることが全身疾患の発症リスクにつながると考えられています。つまり、歯周病はお口の中だけで完結せず、全身に炎症を波及させる“入口”となり得るのです。
■ 歯周病と深い関わりのある全身疾患
【1】糖尿病
糖尿病と歯周病の関係は「双方向性」といわれています。
・糖尿病により免疫力が低下 → 歯周病悪化
・歯周病の炎症物質が血糖コントロールを妨げる → 糖尿病進行
つまり、糖尿病の改善には歯周病治療が不可欠であり、口腔ケアを徹底することで血糖値の改善が報告されるケースも増えています。
【2】認知症
歯周病菌の一部は脳内に侵入し、認知機能を低下させる物質を誘発する可能性が示唆されています。
また、噛む力の低下は脳への刺激を減少させ、認知機能の維持に悪影響を及ぼすことが分かっています。
「歯を守ることが脳を守る」—これは予防歯科の重要な視点です。
【3】心疾患・動脈硬化・脳梗塞
歯周病菌が血管に入り込むと炎症反応を引き起こし、血管壁を傷つけます。これが動脈硬化を進行させ、プラークが詰まり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める要因になると考えられています。
【4】呼吸器疾患 食べ物と一緒に歯周病菌が気管に入り、誤嚥性肺炎が生じる可能性が高くなります。
【5】低体重出産・早産 ホルモンバランスの影響で歯周病菌の増殖が促される上、歯周病の炎症成分が子宮収縮を促し、早産や低体重出産の可能性が7倍になるともいわれています。
【6】骨粗鬆症 閉経後エストロゲンの分泌が少なくなり、全身の骨が脆くなると、歯を支える歯槽骨も脆くなり、歯周病の進行も加速されると言われています。また骨粗鬆症薬のビスホスホネート製剤も外科処置により骨壊死のリスクが上がると言われています。
【7】関節リウマチ 歯周病菌が作る炎症物質が血液を通じて全身に広がり、関節の炎症を悪化させたり関節リウマチの治療薬の効果を邪魔してしまうと言われています。
■ 歯周病は自覚症状が少ない“沈黙の病”
痛みが出ないまま進行するため、患者さん自身が異常に気付かないケースが多いのが特徴です。
「腫れてきた」「血が出る」などの症状が現れた時には、すでに中等度〜重度の場合も珍しくありません。
そのため、定期的な歯科検診とプロフェッショナルケアが、歯周病予防・全身疾患予防の両方に欠かせないのです。
■ 全身の健康を守るために今日からできること
①3〜4ヶ月ごとの歯科クリーニング
②正しいブラッシングとデンタルフロスの習慣化
③糖質の摂り過ぎや喫煙など生活習慣の見直し
④歯ぐきに違和感があれば早期受診
歯周病治療は「今ある歯を守ること」だけではなく、将来の病気リスクを下げ、健康寿命を延ばす医療行為なのです。
■ まとめ
歯周病は、糖尿病・認知症・心疾患など多くの全身疾患と密接に関わる重大な病気です。
お口は全身の健康の入り口であり、歯科での定期管理は、全身の健康にも直結します。
もし歯ぐきの腫れ、出血、口臭が気になったら、それは「身体からのサイン」かもしれません。気になる点があればぜひ一度祖師ヶ谷大蔵ファースト歯科へご相談ください。